針製造課で製造オペレーションに携わるKさんは、商業高校の流通経済コースを卒業した、入社14年目。現在は針製品の製造指示書の発行業務および、針の加飾の一種である蓄光塗布作業というとても繊細な業務を遂行する彼女に、仕事に対する想いを聞きました。
1年目
入社。製品部に配属。時計の組立作業の中で、ムーブメントをケースに入れる工程を担当
2年目
外装部針製造課に異動。針の窓に蓄光液を塗布する、蓄光塗布作業に従事。社内検定の蓄光塗布作業2級を習得
14年目〜現在
現在はサンプル蓄光塗布作業および針製品の製造指示書の発行業務を担当
Kさんのこれまでのキャリアは、一つひとつの経験を積み重ね、着実にスキルを磨き上げてきた努力の結晶です。特に2年目に取得した蓄光塗布作業の資格を皮切りに、技術者としての成長が顕著です。仕事に対する責任感と誠実な姿勢が感じられます。
Q :
現在の業務は?
A :
時計の針の蓄光塗布
時計の針に蓄光を塗る作業を担当しています。夜間や暗闇でも時間が分かるように文字板や針が光る製品があって、その針を加工する工程です。小さな隙間が空いた状態の針に、裏側から蓄光を塗っていきます。
Q :
志望理由は?
A :
子育てしやすい環境を探して
家から近くて福利厚生がしっかりしているということで、子どもが小さかった頃にパートとして入り、その後正社員に。もともとネイルなど細かい作業が好きで、ものづくりも好きだったので、手先の器用さが生かせました。

子育てと両立しながら、時計の針に蓄光を塗布する繊細な作業に取り組んでいます。
Q :
どういった経緯で正社員に?
A :
もっとチャレンジしたいと思ったから
上司に推薦の話をもらったことがきっかけです。子どもの成長に合わせて金銭的な負担も増えますし、もっとチャレンジしてみたいと感じていたので、ぜひ!ということで。頑張りが認められて、とても嬉しかったですね。
Q :
職場の雰囲気は?
A :
子どもの体調不良など、急な休みもお互いさま
子育てしながら働いているお父さんお母さんも多いので、急な休みもお互いさまという雰囲気。嫌な顔をせずに受け入れてくれるのがありがたいです。だからこそ、安心して14年も働き続けられているんだと思います。

蓄光が塗られた針。職場の協力体制に支えられながら、技術と精度を日々追求しています。
8:10 出社、清掃
毎朝従業員全員で朝の清掃を行います
8:20 朝礼
10分程度、急ぎの案件がないかなど、進捗状況の確認をします
8:30 メールチェック
届いたメールに目を通し、返信を行います
9:00 製造指示書の発行・仕分け
製造指示書を発行し、仕様別・仕掛順に仕分けをした後に製造現場へ依頼します
12:20 ランチ
会社内にある食堂で昼食をとります
13:00 蓄光塗布作業
サンプル製品の蓄光塗布作業を行います。重要なサンプルなので、慎重かつ正確な作業を心がけています
17:10 勤務終了
今日の仕事は終了です。お疲れ様でした
朝の清掃から始まり、製造指示書の発行や蓄光塗布作業など、繊細で重要な業務を的確にこなす姿が印象的です。特にサンプル製品の作業では、慎重さと正確さが求められる中でも、冷静に対応しており、そのプロフェッショナルな姿勢に感心しました。
やってみてダメだった人もいる、実はセンスが必要な作業
Q :
働く上で、大変なところは?
A :
技術とセンスの習得
自分でいうのもなんですが…蓄光塗布は誰にでもできる作業というわけではありません。やってみてダメだったという人もいるほど、実はセンスが必要な工程なんです。製品のサイズに合わせて塗料の粘度を調整しながら、表面張力を利用して塗っていくのですが、きれいに仕上げるのが難しくて。塗料が少ないと途中で足りなくなってしまいますし、多すぎるとはみ出してしまう。ちょうど良い量で、なおかつムラにならないように、と気をつかいながら手を動かしていきます。先輩に手取り足取り教わって、一人前になるまでに3年くらいかかりました。
Q :
これまで働いてきて、一番成長を感じた場面は?
A :
検定試験にチャレンジしたとき
塗布の検定と、時計修理の検定、品質管理検定にチャレンジしたときです。特に品質管理検定が難しく、過去問を何度も解いて2度目の受験でやっと合格できました。大人になって頑張ることってなかなかないですが、これだけは胸を張って頑張ったといえます。毎朝4:30に起きて1時間半くらい勉強していました。

繊細な技術とセンスが必要な、蓄光塗布を担当するKさん。努力と根気が求められる作業です。
Q :
大切にしている仕事道具を教えてください
A :
材質が異なる、4種類のピンセット
仕様が少しずつ違う4種類のピンセットを使い分けています。材質が一番柔らかく、つかんだものを傷つけにくいのが竹製のもので、通称「竹ピン」。次に柔らかいのが、金色の真鍮製ピンセットです。あとは、ステンレスの本体にプラスチックの先端が付いたものも。なかでも特によく使うのは「ステン」と呼んでいる、ステンレス製の一番スタンダードな銀色のものです。

4種類の異なる材質のピンセットを用途に応じて使い分け、細かな作業に取り組んでいます。道具への愛着とこだわりを強く感じられます。

加飾(印刷・蓄光)
加飾(印刷・塗装・蓄光)は、腕時計の文字板や針にデザインと機能を付加する仕事で、デザイン性と視認性を高め、時計の美しさと使いやすさを実現します。
Key Responsibilities:
- 文字板への目盛りやロゴなどの印刷
- 文字板や針のデザイン性を高める加飾加工
- 文字板や針の視認性を向上させる蓄光加工
- 日にちや曜日を表示する部品への印刷
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