ケース製造課で試作・量産工程開発および工具設計開発に携わるSさんは、工業高校の機械科を卒業した、入社13年目。腕時計製造の専用工具である、治工具設計業務および試作品加工・生産技術業務を実施する彼に、仕事に対する想いを聞きました。
1年目
入社後、東北相馬工場へ赴任。技術部門へ所属し、腕時計のケースの試作品加工・金型製作およびプレス試打業務を担当
3年目
東北北上工場へ帰任。工機課へ所属し、フライス加工を行う
5年目
東北相馬工場へ赴任し、技術開発部門へ所属。腕時計のケースの新しい切削加工の工程開発を行う
7年目
品質技術係生産技術グループへ所属。ケース切削工程、試作品加工、生産技術業務を行う
8年目〜現在
腕時計製造の専用工具である治工具設計業務を開始。また、試作品加工・生産技術業務を実施
時計のケース製作から始まり、フライス加工や切削加工の工程開発、治工具設計まで、多岐にわたる業務に携わりながら着実にスキルを磨いてきたSさん。8年目以降は生産技術の分野でも活躍し、その技術力と経験が時計製造の現場を支えています。
Q :
現在の業務は?
A :
試作品の加工や治具の設計、技術導入など
新製品を試作するとき、時計の一番外側の部分「外装部」を、金属のかたまりから削り出す「切削加工」を担当しています。また、外装部をつくるときや検査するときに使う専用の道具である「治具」を設計したり、生産技術の新規導入も担当しています。
Q :
志望理由は?
A :
進路指導の先生に勧められて
もともと美術や技術が得意で、工業高校の機械科に進みました。就職を考えたときに、進路指導の先生に勧められたことが入社のきっかけになっています。時計はそれまで遠い存在でしたが、入社後どんどんハマっていきました。

新製品の加工や治具の設計、技術導入に取り組み、着実に技術を磨きながら現場の課題解決に貢献しています。
Q :
治具を設計するときに気を付けていることは?
A :
いつ誰がやっても正確に作業できるようにすること
切削するときに素材を押さえる治具や、一定の角度をキープしながら研磨するための治具、測定しやすくする治具など種類はさまざまです。いつ誰がやっても正確に作業できるものをつくる、ということを常に意識しています。
Q :
今の仕事を担当するまでは?
A :
東北北上工場で働いていた経験も
金型やプレス業務を担当したほか、東北北上工場では「フライス加工」を担当した経験や、相馬で削り出したケースを北上でメッキ加工するなど、工場間で連携することもありました。さまざまな経験から、設計と加工の両方の目線に立って話ができるようになりました。

東北相馬工場のほか、東北北上工場でも働いていたSさん。現場での豊富な経験が今に活きています。
8:10 出社、メールチェック、朝礼
前日分のメールを確認し、都度対応を行います
9:00 新型治具の設計業務、品質コントロールへの対応、試作品加工など
新型治具の設計・現場作業改善の為の設計業務、生産現場で問題が発生した際の対応、試作品の加工業務など幅広く対応します
12:00 ランチ
会社内の食堂で昼食をとります
13:00 生産合理化活動、新製品量産に向けた加工検討、部品の受け入れ検査など
生産性向上のための合理化活動、新製品量産に向けた加工検討、新規部品の受け入れ検査やメーカ対応などを行います
16:00 量産に向けた設備オペレーション、金型CAM操作など
量産の計画がある場合は設備のオペレーションを行います。ないときは金型加工のデータ作成などを行います
17:10 勤務終了
今日の仕事は終了です
午前中に新型治具の設計や品質管理、試作品加工の対応を。ランチ後には、生産合理化活動や新製品量産のための加工検討、さらには設備オペレーションまで。忙しいながらも充実した日々を送っています。
ベテランの先輩でも、フランクに相談できる
Q :
職場の雰囲気は?
A :
和気あいあいとしている
年齢や性別は関係なく、みんな一丸となってゴールを目指し、休憩中など業務外の時間は和気あいあいとしている印象です。私は人と仲良くなるのが比較的得意な方なので「おんちゃん*、これ教えて!」とベテランの先輩方に相談に行くことも。各部門にプロフェッショナルがいるので「このやり方ってどうだろう」「昔やってたこの技術、覚えてる?」など、いろいろなことを聞いています。息子や孫のような距離感で、フランクに接してくれるので話しやすいですよ。 *東北地方の方言で年上の男性に対する呼称
Q :
これまで働いてきて、一番大変だったことは?
A :
感覚に頼らず、言葉にして伝えること
加工の仕事を経験してから、設計側に回ったとき、感覚を言語化して伝えるのに苦労しました…。加工をしている人同士だと「こうすればこうなるでしょ」ということが、なんとなく感覚で伝わるのですが、設計側となるとそうもいかない。「こういう理由だから、こういう形にしてほしい」と説明して納得してもらう必要があるんです。上手く言葉にして伝えるのはいまだに難しいですね。

治具を設計するときは、いつ誰がやっても正確に作業できるよう、気を配っていると語ります。
Q :
大切にしている仕事道具を教えてください
A :
工作機械「NC旋盤」と「マシニングセンタ」
工作機械である「NC旋盤」と「マシニングセンタ」は、仕事をする上で欠かせない、相棒のような存在です。ざっくり説明すると「NC旋盤」は、回転した材料に刃物を当てて形をつくる機械で、円筒形をつくるのに向いているというもの。「マシニングセンタ」は反対に、回転した工具を固定した材料に当てて形づくる機械で、こちらは角ばったものの加工向きです。どちらもメンテナンスを怠ると、良いものがつくれなくなってしまうので、定期的に精度をチェック。たとえば100個加工するごとに刃を交換するなど、その都度対応しています。 最近年季が入ってきたのか、いうことを聞かない場面もまれにありますが、バージョンが古いわりには精度が高いので、やはり頼りになるなと感じています。ずれも極めて少ないですし、本当に優秀な機械ですね。この2つの機械とCAMソフトさえあれば、どんなものでもつくれてしまう気がします。

長年愛用している工作機械『NC旋盤』と『マシニングセンタ』を駆使し、精度の高い加工を追求しながら、安定した製品づくりに取り組んでいます。

生産技術
生産技術は、新しい腕時計およびその部品の製造工程を設計し、加工から製品化までの最適な生産体制を確立する仕事です。効率的で高品質な生産を実現し、市場投入までの時間短縮とコスト削減を目指します。
Key Responsibilities:
- 試作を通じた効率的な製造手法の確立
- 量産体制への移行と工程改善
- 部品の加工方法や組み立て順序の設計検討
- 品質検査の基準の設定
- 製造コストの最適化と歩留まり向上
- 製造現場での問題解決や作業性の向上
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